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January 31, 2014

徒花の果たした役割

去年の12月に自主誕生日イベント的な催しを
同じ誕生日のスタイルキューブのなみぞうさんと一緒にやった訳だが
その折に自分年表を作ることになり、改めてこれまでを振り返ってみた。
年度ごとにトピックを埋めていくと微妙な記憶違いなどもあり
併せてその折々の記憶を更新させることが出来た。

今年ガンダム35周年、そして来年ガンプラ35周年ということもあり
昨年末あたりから生き証人的な形で様々な媒体からのインタビューを
お受けする機会が増えている。
記憶を更新させていたのが功を奏して
部分的ながら確かな記憶に基づくお話をさせていただいている。

ガンプラ35年を振り返る的な企画は
各社各ご担当者によりその切り口や解釈が微妙に異なる訳だが
それは担当された方の経験や価値観に拠るもので
商品個々への思い入れなども人によって違うことがリアルに感じられて
取材を受ける側としてもそれはそれで面白かったりする。

本放送終了後に商品が発売され、再放送と劇場版三部作という映像コンテンツ、
HJとボンボンという異なる読者層を持つ出版メディアを通じた情報発信を背景に
ガンプラブームと呼ばれるムーブメントがあり、
劇中MSの商品化に次ぎMSVそしてTV続編のZガンダムに至る過程というのは
概ね誰しもが思い起こすことが出来るガンプラのメインストリームではある。

その流れの合間にリリーフ的に現れた
リアルタイプモデル、メカニックモデル、情景セットといった商品は
商品化の進展に伴いやり尽くした上でのメーカーの試行錯誤として認識され
徒花として記録にとどめられているに過ぎない感がある。

自分も実際にそういうことだとは思うのだが、
あのタイミングであれらの商品が存在したことには意味があったんじゃないか…
などと最近は思ったりもする。

同スケールでコレクションする、更に設定や劇中のイメージに近づけるために改造する、
というのはガンプラが世に出た時から今に至る代表的なガンプラとの向き合い方だが
シーンを再現・表現するディオラマ、内部メカの作り込み見せるカットモデルといった
それまでの模型シーンで培われてきた手法も
ガンプラの楽しみ方の選択肢として用いられた。

しかし、プラモデル初体験がガンプラであった子供たちにとって
そうした模型の国の様々な楽しみ方の手法は毛頭知る由もなく
雑誌を飾る作例で初めて接する選択肢であったという子も少なくなかろう。

TVと違う好きな色で塗っていいんだ…
小さなマークをいっぱい入れるとカッコよくなる…
弾が当たればガンダムでも壊れるんだ…
対決してるところを作ってみたい…

様々な思いを抱きながら作例を見て真似した子も多かったはずだが
もとより初めての子が最初から上手くできるはずはない。
リアルタイプモデル、メカニックモデル、情景セットに
コレがあれば出来るかもしれないという気持ちを抱いた子もいたかもしれない。
雑誌情報とは縁があまり無かった子はそれら商品に接して初めて
塗装、マーキング、ディオラマ、カットモデルといった
模型的選択肢を認識した子もいたかもしれない。

メーカーの窮余の上での商品ラインナップであったかもしれないそれら徒花は
ガンプラの模型としての選択肢を提示するものでもあり、
ガンプラの持つバリューを商品として広める役割を結果的に担っていたように思える。

翻って現在のガンプラシーンに於いて我々はガンプラの持つバリュー、
楽しみ方の選択肢をお客様に発信できているだろうか。

「ガンプラは自由に作っていいんだ!」というGBFのメッセージは
優れたビルダーであるセイくんの行き詰まりを越えたところで至った境地な訳だが、
"自由"というのも存外難しいもので、
GBF16話で初めてガンプラを作ったレイジに「自由に作っていいんだよ」と言っても
その"自由"というモノがどういうものか多分見当がつかないんじゃないだろうか。

GBF5話の冒頭でラルさんはレイジに対し
ガンプラのバリューはガンプラファイトだけではないことを諭した。

意識的に"自由"なものを作ろうとするとそこにはある程度の知識や経験が求められる。
自分が子供の頃に壊れた模型を集めて多砲塔超戦車や双胴超戦艦をでっちあげたり
委員長ちゃんがベアッガイさんの中に綿を入れるような
無邪気な"自由"とは若干趣が異なる。
それはそれで大事な資質なのだが、いろんなことを知ってしまっている今の自分らには
なかなかそうした無邪気な"自由"を求めることは難しい。

少なくとも"自由"に作るためのきっかけは
やはり我々がガンプラの可能性を考え、選択肢として発信すべきものであろう。
そうした選択肢を受け取ったお客様がどれを選び、
または敢えて選ばずガンプラを楽しんでいただくか、というのも"自由"の範疇にある。

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Comments

つい先日に発売されたばかりのMGビルドストライク、
組み立て易く、MG用にアレンジされたディティールも
含めた完成後の見栄え、(私は大人なので完成後は飾って
眺めるのが主ですが)アクション性、などなど、とても
楽しませて頂きました。他キットへのブースター付け換ええ、
今後も発売が予定されている他拡張アイテムの発売も併せて
楽しみにしているところであります。が、自由に作るという点、
キッカケ、HGやMGなど時間の経過と共に規格が代わり、
昔のキットと現時点での最新キットを組み合わせること、
私のようなライトユーザーにとっては厳しくもあります。
HowToモノというのか、このようなことができるよ的な
発信を、メーカー側がされているのは存じておりますが、
ユーザーもそれなりの技術、時間、労力、更なる投資、
などが必要とされる場合が多く、気軽にやってみようと
思えない場合もありますから、そういう意味で
MGビルドストライクに付属するジョイントパーツ、
着眼点(?)発想(?)、ありがたいものでありました。
こういったものが武器類&背負い物だけでなく、
例えば肩・肘・股間節・膝・足首の関節パーツなど、
シリーズ・スケール問わず多彩な組み合わせを
引き出すことができるキッカケになれる物があれば、
自由に作る可能性はもっと広がるのでは?と素人ながら
思うこと多々あります。改造しなくても某ゲームのように
(ある程度)自由にカスタマイズできるように…と。
仰っていたガンプラとしての可能性&選択肢としての発信、
ガンプラ進化の過程の1ページに(少数派かもしれませんが)
このような物を希望する人も居るということ、何かの折に
思い出して頂けたら幸いです。長々と失礼致しました。

Posted by: T・G | February 06, 2014 at 03:56 AM

川口様。
自由、多少なりともモノを知ってしまったところの自由と、子供ならではの自由とは全く違うものだということ、本当にそう思います。
全く何にも知らない状態で、自由にやれと言われても困惑するばかり。お茶席でお作法に当惑したり、ルールの知らないスポーツの試合に突然出さされたり、そんな感じでしょうか。いずれにしても、図工の簡単なスキルやせめてニッパの使い方ぐらいは必要ですよね。危惧するのは、子供たちの多くがモノを作れない。iPadは簡単に初見で操作してしまえるのに。いよいよ学校でプラモデルを作らせねばいかんよと、本気で思ってしまうほどにです。
日本の未来のためにも、ガンプラの、プラモデルの役割は小さくないと思うのです。

Posted by: 赤い熊熊 | February 08, 2014 at 09:08 AM

■ T・G様
ご意見ありがとうございます。
ガンプラの場合、小学生くらいのお子様から僕らくらいのオサーンまで
様々な方が手にする可能性を持っています。
つい模型慣れしている感覚でモノ作りを行うと
せっかく興味を持ってくれた方を置いてきぼりにすることも往々にしてあり
折々に向き合い方を改めながら業務にあたりたいと思います。

■ 赤い熊熊 様
より便利に、より安全に、ということで僕らの生活スタイルはどんどん変わってきています。
学校での刃物の扱いなどは若干主旨が異なるようですが、
普通に生活する中でも刃物、火といった"危険なもの"との縁は遠ざかってるのは間違いないでしょう。
スーパーでは魚は切り身で売られ、骨まで抜いてあるものもある。
IHコンロには火の介在する余地すらない。
"危険なもの"との接触のない子供たちがそのまま親の世代になる訳で、
"危険なもの"が扱えない親が子供に教えられるはずもなく…というようにして
世の中は変質していく面もあるんだろうとは思います。
それを愚かなことと言えば言えるのですが、そこに昔は云々という言葉をつなげるのは何の解決にもならない訳で
そういう世の中になっていることを認識した上で発信者は何をするのか
そのあたりは真剣に考える時ではないかと思います。

Posted by: 川口 克己 | March 13, 2014 at 06:04 PM

お世話になっております。角川スニーカー文庫などでガンダムのノベライズを書かせていただいております、小太刀右京と申します。

SD世代である自分は情景セットの「テキサスの攻防」をたまたま駄菓子屋で買って「本物のガンダムってこういう話なんだ!」と感動し(SDも本物だと今は思っているのですが、当時はリアルタイプ=本物だったのです)、リアルタイプザクの塗装に感動し、メカニックモデルからロボットの中身を想像することを覚えました。

自分は「あだ花」に育ててもらって、ライターの端くれになる想像力を得ることが出来たと思います。

ありがとうございました。

Posted by: 小太刀右京 | May 15, 2014 at 01:02 AM

様々なトライアルの中で、残り続くものもあれば記憶にすら残らず消えていくものもある訳ですが、そうしたものがあってこそ…という面もあるとは思います。

Posted by: 川口 克己 | August 28, 2014 at 02:45 PM

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