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February 20, 2013

模型の国に於ける"自由"

模型の国で時々聞かれる言葉に"自由"或いは"自由度"というのがある。

カワグチ的には普段から
「自分の趣味なんだから自分が思うように作ればいいじゃん…」
などと言っている訳だが、
「他人の目を気にして模型が作れない…というのは本末転倒じゃね?」
「こうしなきゃいけない的なお作法があるから模型はめんどくさい…って思い込んでない?」
というあたりが真意だったりする。

ここでポイントになるのは自分が納得できるか、満足できるか、というところで
ガルパンでおピンクのリーがあるんなら黄色いグラントがあってもいいかも…
などと思うのはその人の感性であってそれは自由の範疇。
本人が納得して作るんならそれでもいぃじゃん…でも、俺は作らないけど。
WLでマストを細く作り変えるの面倒だからパーツのまんまで作ります…というのも自由。
それで編成出来るくらい艦艇を揃えられるんならそれでもいいじゃん…俺は気にするけど。
というのがカワグチ的なスタンスだったりする。

こういう書き方をすると突き放したような印象を持たれるかもしれないが
自分だって模型の国にやって来た当初はそんな感じだった訳で
当時はそれなりに自分の中で満足はしていた。
ただ、興味を持てば持つほど知識欲が生じるのが人情で
知識が蓄積していくと納得のハードルは勝手に上がっていく。

ゼロ戦を真っ黒く塗って夜戦塗装だぜ、カッケぇ~と喜んでいた小僧も
知識が備わってくると、
零戦の夜戦型は20mm斜銃を装備していて…などと薀蓄をたれるようになり、
その段階で黒塗りのゼロ戦は急に色褪せ闇に葬りたくなる。
それが自分の中の納得度のハードルが上がった瞬間であろう。

黒塗りゼロ戦に喜んでいる小僧に
大人が「そんな零戦は無い!」などと冷や水を浴びせかければ
小僧は意気消沈して模型の国を去ることを決めるかもしれない。

誤りを正すのは知識を持つ者の努めだと思っている人はそれも止む無し…
と思うのかもしれないが、ハッキリ言って大人気ない。

「確かに夜戦用に黒く塗った戦闘機はあるけど、零戦の夜戦型は…」
と、道を示してくれれば小僧の知識欲は掻き立てられるはず。
否定するのは簡単だが、それは自分の知識を誇示するだけの自慰行為に過ぎないと思う訳で
他人の自慰行為に付き合う義理は誰も持ち合わせていない。

最初っから超絶技巧でスゴイ模型を作れるヤツなんてそうそういる訳ではなく
大人気ない人だって最初はブンドドに興じていたのかもしれない。
模型の国に長く住んでいるとそういう記憶は消去されがちだが
次代の模型の国の住人予備軍を育む上で
カワグチ的には"否定から生まれるもの無し"という意識は譲る気は無い。

だからと言って、
手抜きの言い訳として「どう作ろうが俺の勝手」と嘯くのもどうかとは思う。
特にキャラものの場合、本物が無いから自由に作ることが出来るという表現がよく使われるが
本当に自分で納得してるの?と、聞いてみたくなることはままある。

カワグチ的には模型の国で言うところの"自由"は
"自分の中でルールを作る自由"だと認識している。

パンターにDAKのマークは付けないし
赤城に天山を乗せることは自分の中で絶対に良しとは出来ない。
でも、VII号戦車の模型を作るのであれば暗視装置を付けてみよう…とか
unicraftのJu187を作るんならルーデルの機体にしようか…などとは思う訳で
考証という制約を課した中でどれだけ楽しめるかというのが自分の中のルールだったりする。

ガンプラにしても然り。
カワグチ的にはルウム戦役で戦ったGMなどというものは作れないし
黒い三連星のゲルググというのは全く食指が動かない。

そういう意味ではカワグチが自分に課している自由度というのは甚だ不自由なものかもしれない。

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Comments

・・・子供の頃
「宇宙用グフ」なぞを作っていたのが恥ずかしいです(笑)

 どんなスポーツも競技もルールあったればこそですが、こと模型に関しては他の方に対して「マイルール」の押し付けはしたくありませんよね。
 その上で例えば宇宙世紀は宇宙世紀、コズミックイラはコズミックイラという範疇でいい意味その枠内で模型を楽しんでいけたら良いなと考えております。

Posted by: えふらっぷ☆ | February 21, 2013 12:11 AM

はじめまして
横からで申し訳ないですが、「宇宙用グフ」ならTV版のア・バオアクー戦でグフのランドセル付けたザクも出て来てるし、Zガンダムの海ヘビと言う武器もヒードロッドぽいから別に気にしなくていいのではないでしょうか!?

Posted by: (´・ω・`) | February 21, 2013 02:22 PM

Mなオチはテレもあるのかなあって、失礼ながら思っちゃいました。 (^_^;)
開放感あふれる楽しいお話、ありがとうございました。

Posted by: にあ | February 21, 2013 08:58 PM

■ えふらっぷ☆様
"黒歴史"のようなこともガンダム世界では起きる訳で、
自分の中のルールも頑迷にこだわり続ける必要は無く
時々更新するくらいの気分で良いのかもしれません。

機密性を考えたら水陸両用MSは宇宙用でも使えるんじゃね?
などというようなことはよく言われましたが、そのあたりも俺の中ルール次第ですねw


■ (´・ω・`)様
ご来場ありがとうございます。
自分の中ルールのこだわりどころをどこに置くかということで
可能性は如何様にもアリというところでしょう。

ただ、0083やイグルーで陸戦MSが宇宙ではただの標的にしかならないというような表現を見てしまうと制約にはなってしまいますけど…


■にあ様

模型趣味は基本的にM気がないと続きませんからw

Posted by: 川口 克己 | February 22, 2013 03:02 PM

はじめてコメントさせていただきます。
さて模型趣味という極めて継続させるのにエネルギーを要する世界で少し否定されたぐらいで去るような方が長く残っていくでしょうか?
いまはおもちゃの世界のようなこここ心地よいところもあります。模型の世界に居続けることのハードルは思いのほか高い時代ではないでしょうか。
そういう意味であの作品でAFVモデルの世界に入ってきた人がどれだけ残ってくれるか注目しております。どれだけが濃いモデラーになってくれて、どれだけが別のコンテンツに流れていくのやら。
自分の中でルールが決められない人はおそらく残ってはくれないでしょうね。
Easy come easy go.とはよく言われますが

Posted by: やまむら | March 02, 2013 07:15 PM

■やまむら様
ガルパンがきっかけで戦車模型を手にした人の多くは
模型趣味の世界には残らないでしょう。
他に魅力的だと思えるキャラクターが現れれば
当然そちらに目が向くでしょうから。
彼らをニワカと称し迷惑とおっしゃる模型趣味世界の方もいらっしゃいます。
それでも個人的には「ニワカ結構」というのが現状に対する認識です。

以前ガンプラでもガンダムSEED放送の折には
「女子供の喜ぶガンダムは俺は認めない」
とおっしゃっていた方もいらっしゃいました。
「一過性のブームで手にした人は残らないよ」とも言われました。
実際その通りではあったのですが、個人的にはそれも諾。

業界に身を置く者としてはそのまま模型趣味に傾倒していただけるなら
それはそれに越したことは無い訳ですが
ブームをきっかけに模型を手にし、作ったという経験を持つ人が増えた
という結果だけでも十分だと思っています。

一過性のブームの後に去ってしまった人たちでも
模型を手にしたことがあるという経験は
また何かのきっかけがあった時に再び模型を手にする可能性を高めてくれます。
そうした繰り返しを経ることで模型を趣味とする人になる可能性も秘めています。

趣味の選択肢が少なかった昔と違い
生まれてから一度も模型を手にした事が無いという人も増えていますから
そうした人の意識の中に"模型"が認識されることが大事だと思う訳です。

私自身、模型趣味という世界に対する意識が甚だゆるいので
そういう思考になるのかもしれません。
「模型趣味かくあるべし」と押し付けられるのは大嫌いですし
昔よく言われましたが「模型は高尚な趣味なんだから…」などとは全く思ってませんので。

Posted by: 川口 克己 | March 03, 2013 02:29 AM

はじめまして。
ガルパンきっかけで少しでも人が増えればうれしいです。

ニワカってなんですかね素人と違うのでしょうか
わざわざ興味持ってくれた人をニワカと称して迷惑がるのは個人的に良くは無いと思います。私もニワカ結構です。

めったに無い戦車ブームなのでがんがんタミヤに便乗してもらってモデラー増やしていただきたい。


Posted by: としお | March 04, 2013 08:07 AM

■としお様
数十年来好きで大切に思っていたものが
ブームでやって来たよくわかってない人たちが色々語ることに対して
大事なものを荒らされてるような気分で不快感を感じる…というような
心情的なところはわかるんですけどね。

ブームが一時的なものに過ぎず
ブームの収束がその対象そのものの陳腐化、終わった感を引き出すというのも
模型に限らず様々なブーム現象で見られるところでもあります。

そういう意味では2期の含みありまくりで終わったガルパン。
実際に2期が制作、放映されたとしたら
その最終話後の状況には率直なところ不安は否めません。

その間に模型経験者が増えてくれることを願いたいですね。

Posted by: 川口 克己 | March 04, 2013 09:40 AM

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