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February 28, 2012

肩をハの字に切った訳

30年ほど前、ホビージャパン誌で作例などを発表させていただいていた時代、
ザクのボディ側面をカットする「ハの字カット(切り)」と呼ばれる改造が
デフォとして認識されていた。

MSのフォルムと人間の体系を比べると肩のつき方が決定的に異なる。
ボディのブロックの外側に肩のブロックが付くというフォルムは
どうしても胸板のボリュームに比べて横幅が広がってしまう。
設定画を踏襲すると当時のキットのようなフォルムになるのは致し方が無い訳で、
とは言え劇中では人間の動きのようなアクションをする。

立体物の見栄えという点でも胸板と肩幅のバランスは
極端な差は無い方が重厚さが感じられ、固まり感が得られる。

で、正面から見てハの字様にボディ側面をカットすることで
ボディのボリュームを落とさず肩幅を詰め、
更にいかり肩に見えるような効果を得る方法ということで
ストリームベースではザクの定番改修ポイントになった。

しかし、ボディ側面をカットするだけでは実は僕らがイメージしていた理想形にはならない。
合わせて肩ブロックを小型化し、肩ブロックの存在感を薄めるという作業が加わる。
更にスパイクアーマーを肩ブロックで完結させるのではなく
スパイクアーマーの縁がボディにかかるくらいに延長する。
そうするとスパイクアーマーを介してボディと肩から腕にかけてのラインが繋がってくる。

How to Build GUNDAMの頃、ストリームベース共通改造パーツというのを共有していた。
スパイクアーマーと足のパーツだったのだが
スパイクアーマーは上記のような効果を踏まえた造形にしていた。

設定画や作画ではボディ側面に傾斜が付くようなことは無い。
至上主義的な観点からすれば、視覚的な錯覚を導く「ハの字カット」などは
邪道とされるだろう。

しかし、立体物としての全体のイメージを理想のカタチに近づける上では
そのようなアレンジも僕らは是とした。

良作と評価をいただいているMGザクver.2でも
スパイクアーマーの処理に関しては個人的に物足りなさを感じていたりする。

このところの作りモノ目白押しの状況では手をつけることこそ自殺行為のようなものだが
時間ができた時にはver.2ベースで肩(特にスパイクアーマーの処理)と
スネ外側のふくらみを落とした俺イメージのザクを作ってみたいと目論んでいたりする。

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Comments

こんばんは。お邪魔いたします。
先日のシャアザク、なるべく初期設定イラストに
近づけるよう工作していたのですが、
「さて、肩をハの字にしよう」と思ったところ
画稿をみると意外にもハの字にいなかった事に
今頃になって気付きました。
旧MSV比べてHGUCとかは胴体側が薄かったり
メーカーの試行錯誤を感じる部分です。
ついには2.0で銃をほぼ正面に構えられる
ようになったのはスゴイと思います。

川口さんの2.0見たいです。

Posted by: チアキ・バチスタ!! | February 28, 2012 01:17 AM

おー、貴重なお話ありがとうございます。
当時、私もまねっこしてました。アーマーまでは頭がまわりませんでしたが(苦笑)。
劇中の銃の両手持ちが格好良くて、ガンプラでそのままじゃうまく出来なくて、ムッキーっとなってたお子様でした。
三角というかお相撲さんというか、どっしりした巨大感もあって、ハの字切りはカッコ良くて好きです。
お忙しいとは思いますが、ザク楽しみに待ちます。
いつもの様に、決してプレッシャーを与えるつもりはございませ~ん、です。

Posted by: にあ | February 28, 2012 10:24 AM

例の「肩ハの字」はちゃんと元の設定画からひらめいたのよ。
おなじみのザクの素立ちの設定画でスパイク付きの左肩側だけを見ていると、空間の歪みというか四次元(笑)というか、肩ブロックが胴体に対して謎な位置にあるけれど、シールド付きの右肩側の胴体を見ると、明らかに首脇の上面の幅がウェスト直上(コクピットハッチ部脇)の張り出し部分より狭く見え、おまけに肩ブロックが水平位置よりやや上がっている(1~2度ほど。デザイナーの“手癖”とも言えなくもないけれど)。
ナンセンスなことかもしれないけれど、設定画の胴体左右ブロックの上端は定規を当ててみると同一直線上にあり、スパイク付きの左肩ブロックの立方体の仮想線もその直線を上へ平行移動させた位置にあるのだけれど、少なくとも右肩ブロックの上端は同一直線上になく、外側に行くにつれてハネ上がっている、と。
そこで1/144の旧キットの胴体をハの字に切って小田さんにプレゼンしたのよ(同時に太腿を短くするってのもやってみた)。それが例の1/60キットのHJ作例に反映されて世に出たんだけれど、多分、それが良かったんだろうと思います。
オイラ自身にはザク系の作例依頼なんて回ってこないわけで、仮に作って世に出したところで、クソのよーな作例では誰にもインパクトを与えることなんかできなかったでしょうからね(笑)

Posted by: 高橋昌也 | February 28, 2012 03:02 PM

■ チアキ・バチスタ!!さま
昨今のCG画の場合ですと線が繋がらないということは基本的にはありませんが
(意図的に関節外したりずらしたりということはありますけど)
手描きの場合矛盾するところは少なからずある訳で
前身と後身では別物…という例も多々あったりします。
イメージに従い補正しながら、
どのラインを採り、どのラインを見なかったことにするのかもヒトの仕事。
解釈によってアガリが異なるというのもアリということで。

製品についても担当者によって変わるところもあれば
折々の雑誌作例などを参考に変わっていくところもあります。
確かに試行錯誤の産物が今の製品であり
更に試行錯誤は続く・・・というのがお仕事ということで。

2.0はこうしたい…的な"腹案"はある程度まとまっているので
いずれ…w


■ にあ様
カッコ良く見える…ということは自分で納得できるものに通じる訳で
カワグチなどは理性よりも野性で作ってますからw
作りモノ仕事と逃避先のスケールの合間に
気分転換要員としていつでも出撃できるように机にザク置いときます。


■ 昌也様
その辺の話は初聞きでした。すると、オイラ達、微妙に違う方向を見ながら切ってた訳ですね。
How to Build GUNDAN 1に員数合わせ的に引っ張り出したマゼラトップ砲持ちのザクが
オイラ的には初切りだったと思いますが、その時の理解は本文中のような感じでしたよ。
もっともその時は肩ブロックそのものの小型化までは思い至らず
スパイクアーマーの延長で辻褄を合わせようとしてたのでアガリは不本意でしたが。

デザイナーの癖ということでは当時の大河原画稿の場合
上半身はセンターから右、下半身はセンターから左を踵位置を接地位置に想定してバランス取りすると
立体にした時に収まりが良いという強引な切り貼りをしてMSVの頃からプラとポリパテ削ってましたが
もっと早く気付いていれば右肩正面形が正方形に近いということで、自分なりの納得ラインに近づけたんですけどね…。

Posted by: 川口 克己 | February 29, 2012 12:10 PM

ええっと、MSVあたりから私ら「ハの字」はヤメたと思いますが、アレは「大張ドラグナー」(笑)な感じのご本人からのクレームが原因でして、あのあたりから「ザクの胴脇はハの字ではなく垂直である」というのを親分が私らの公式見解にしたという流れで…まぁ、ゴニョゴニョ。
ザクの右肩は直方体ブロック上面ではなく、その上に乗るシールドの上面が上端のラインだとすると、左右で角度が合うようになっているんですわ、あの設定画。あのへんも四次元…と言うか、「ユニバーサルジョイント的なもので接続されており、シールドの自重で内側方向へ垂れている」と解釈すると「怒り肩」でもいいんだよね。個人的にはいまだに「怒り肩」だと思ってますけど(笑)

Posted by: 高橋昌也 | February 29, 2012 04:34 PM

そうそう、「ユニバーサルジョイント的なもので接続」ってのは、5号パンター戦車の徹底工作で有名だったAFVモデラーの大越睦実さんが、マッチボックス(レズニー)の飛行機プラモについていた透明プラスチック製スタンドのボールジョイント部分を切り出して、ザクの肩ブロックに埋め込んだ個人作例(?)が初見でした。たしか先方が「AFVの会」の流れだか何だかで、当時流行していた1000円食い放題焼肉屋で合流して「こうすれば銃が構えられる」とか言ってゴソゴソ出してきた。
その時に大越さんが「右肩のシールドも絶対にユニバーサルジョイントだ。そうじゃないとシールドが側方から後方に回る説明がつかない」と力説していて、「おお、そうか」と。
考えてみると、飛行機、AFV、自動車、艦船というようにモデラーを色分けしていたのは、もっぱら模型雑誌側であって、モデラーはみんな雑食性だったんだよね。その「壁」を取っ払う位置にいたのが当時のガンプラで、当初は資料だの設定だのとは無縁の治外法権つーか無法地帯だったから、みんなガンプラだけは純粋に「プラモデル」として楽しめていた。そう考えるとスゴイことなんだけど、昨今は資料だ、設定だ、と堅苦しくなってきた感も否めませんねぇ。

Posted by: 高橋昌也 | February 29, 2012 05:01 PM

うー、私は『How To Build GANDAM』に夢中な中学生だったので、嬉しくてたまらないものがありまするー。
情報が増えても下手に縛られず、上手くひろって楽しみたいと改めて思いました。

Posted by: にあ | March 06, 2012 07:33 PM

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