観劇

2016年10月12日 (水)

劇団唐ゼミ☆ 第26回公演 【腰巻お仙 振袖火事の巻】

1年ほど前、平素より知己を戴いている方からのご案内を戴き、
新宿中央公園で上演された劇団唐ゼミ☆の「君の罠」を拝見した。

そして今、新宿中央公園に再び青テントが設けられ
1969年に唐十郎氏の紅テント"状況劇場"により上演された
腰巻お仙  振袖火事の巻」が約半世紀を経て上演されている。

テントという日常とは乖離した空間に様々に凝らされた仕掛け、
指呼の間でエネルギッシュに演じられる不条理劇。

1969年と言えば自分などはまだ8歳、
九州の片隅で昭和ど真ん中に生きていた時代。
そんな昭和の空気を色濃く感じながらも
青テントの外は平成の御代という不思議な感覚を覚える。

「君の罠」が演者さんたちの熱演によりなる
たたみかけるような言葉とスピーディーな展開に圧倒されたのに対し
本作では"狂気"が徐々に演者さんたちの間に感染していくような凄みを感じた。

カオスに彩られながらも舞台はヒロインと主人公(?)に収斂していき
クライマックスの大仕掛けとともに幕を閉じる。
その瞬間、語彙の無い自分には「スゲェ…」という言葉しか思い浮かばないが
そこには或る種のカタルシスがある。

そして非日常から現実に強引に引き戻される。

折しも「君の名は。」で描かれた透明感溢れる新宿の描写、
本作で描かれた相反するように思える狂気と闇を孕んだ新宿、
どちらが正しいという訳でもなく、どちらもが新宿の顔なのだろう。
そして新宿だからこそ、この芝居の舞台足り得るのかもしれない。

そして何よりアップデートはされているのだろうが
このような題材、表現が1969年に描かれていたことに驚きを禁じ得ない。

…などと、こんなタイミングでテキストを上げている訳だが
公演は10/12を以て楽となる。

残すところあと1ステージ。
我らが鳳恵弥さんも出演されているのだが
普段の役とは明らかに異なる佇まいは
必ずしもメイクのチカラだけによるものでは無かろう。

今宵、新宿に足を向ける時間があるようなら
中央公園の水の広場の青テントを覗いてみてはいかがだろう。

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2016年6月10日 (金)

劇団クロックガールズ 第13回本公演【コメディカルナイト】

普段そんなにドラマなどを見ている訳ではないのだけれど
医療ドラマと法廷サスペンスは俺的にはかなり視聴頻度が高かったりする。

今回採り上げさせていただくのは医療ドラマの一編
劇団クロックガールズの「コメディカルナイト

"あらすじ"によれば
 「倒産の危機に瀕した個人病院。
 やる気も知識も腕もない3代目院長のもとには、これまた
 やる気のないコメディカルスタッフ(医療従事者)しか残っていなかった。
 そんなポンコツ病院の夜間救急外来で、ある夜、重大事件が発生!」

とのこと。

芝居冒頭に研修医クンが登場してくる。
この研修医クンが軸になって先輩・同僚・患者さんに翻弄されながら
お話は進んでいくんだろうなぁ…などと想像しながら観はじめる。

すると舞台には次々とコメディカルスタッフが現れ、
次々とトラブルに見舞われた外来が訪れる。

少なくない人数の登場人物それぞれ個性が強く
個々にエピソードを背負っている訳で
トラブル含みのお話はどんどん広がっていくのだけれど
テンポよく繰り広げられるドラマは散漫になることも無く
ドラマが進展していく中で様々なトラブルも消化されていく。

張られた伏線が未回収で終わるとそれは観る者にとっては消化不良感が残る。
逆に回収のされ様がきれいに腹落ちするとそれだけでも快感だったりする。
そこで発せられる台詞ひとつが冗長な解説に勝る人物像を紐解いてもくれる。
そうして感じられるキャラクターはみな愛おしい。

様々なトラブルを解消するために関わる人たち、
費やされる労力・時間はその程度により異なるが
それもメリハリが効いていて心地よい。
中でも最大級のトラブルにどうオチを付けてくれるのか…
という期待もそこから生まれてくる。

観る人だれもが身に覚えのある"夜のテンションの昂り"の中での混乱、
最終段階での場面転換は時間の経過だけではなく、
朝を迎え落ち着きを取り戻した心理から
平常を取り戻していく状況に一変させてくれる。

夜中と早朝のコントラストは
置かれた状況に変わりはなくても、様々なトラブルに見舞われても、
そこがそれぞれの人物にとっての唯一の居場所であることを感じさせてくれる。
展開の美しさとでも言うのかな…
ある種の様式美のようなものに触れたような気さえする。

観終わったときに感じた気持ち良さはそんなところにあるのかもしれない。
などというネタばれを何とか回避しようとした素人評論は…
まぁ何の参考にもなりませんが、
実に面白いお芝居ではありましたよ。

詳細は劇団クロックガールズ公式サイトでご覧くださいませ。
日曜まで上演中ですのでご興味のある方は是非。

チケットお申し込みの際には
備考欄にキャスト名「鳳 恵弥」さんということでヨロシク!

劇団クロックガールズ公式サイト

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