海外

2017年10月28日 (土)

マーライオンはガッカリなのか?

"世界三大がっかり"という言われ方をする観光ポイントがある。
シンガポールのマーライオン公園はその3大がっかりの一翼となっているのだけれど
現在のマーライオン公園をして3大がっかりのひとつに数えるならば
たいていの観光スポットはがっかりなんじゃないかと思う。

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現在のマーライオンはマリーナ・ベイ・サンズの方向に水を吐き
その姿はマーライオン像を回り込む桟橋により様々な角度から見ることが出来る。

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そして現在のマーライオン公園は2002年に移築されて現在の場所に立っている訳だが
その前はどこにあったのか。


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カワグチが初めてシンガポールを訪れたのは1995年頃になる。
当時はエスプラネード・ドライブという水上橋も
マリーナ・ベイ・サンズが立つ埋め立て地も無く
旧マーライオン公園はマリーナ・ベイに突き出た小さな突堤の先にマーライオンが立つ
確かにがっかりな景観だった。
マーライオン公園からはマーライオンの尻を拝むだけで
水上に出ないと水を吐く姿は間近に見ることが出来なかった。

ガンダム20周年の1997年に初めて海外での模型製作実演を行うべく
シンガポールそごうのおもちゃ売り場に訪れた時に
エスプラネード橋が完成しマーライオンの正面を見ることが出来るようになった。
けれどマリーナ・ベイを横切るエスプラネード橋によりマーライオンは
マリーナ・ベイの奥に軟禁されてるような印象を受けがっかり感は拭えなかった。

そして2002年にマーライオン公園はエスプラネード橋の外側に移築され
2010年にマリーナ・ベイ・サンズが開業して現在のような景観になった。
その後も様々に開発が進められ、いつ来ても工事中の場所が絶えないシンガポール。
これからもその姿は変化し続けることだろう。

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2017年1月19日 (木)

GBWC2017に向けて

GBWC2016世界決勝から早いもので1ヶ月が経った。
2017年も第7回大会として開催予定なのだけれど、
現在、運営的にはレギュレーションの見直しなども行いつつ
実施要項を検討していたりする。

例年通りのスケジュール感で実施されることになれば
7月の中国エリア予選(上海)あたりから代表選考が始まる訳で
今のタイミングだと既に作り始めている人も多いと思う。

GBWC2017に応募しようと思っている方々、
老婆心ながら"作品"を製作するに際して意識しておいた方がいいよ…。
という点が幾つかある。

折々にそうしたことはいろんなカタチで触れていくつもりだが
今回ここで記すのもその一環。

「作品の写真撮りは案外重要です」

これは日本のような予選段階で写真審査を行うエリアに限らず
本選ゲンブツ一本勝負のエリアでも言えることで、
写真を撮ることにより自分の作品を客観的に見直すことが出来る。

作っている最中には気付かなかったエラーを
写真撮りし画像を見て気付くということは多々ある。

また、コンテスト応募作品というのは他人に見てもらうことが前提となる。
その時に、作品の一番の見せ場となるメインカットをどう撮るのか…
というのはテーマを明確にするうえでも重要になる。

作品を見て様々な箇所に仕込まれたアイデアを発見するというのも
模型的な楽しさであるのは間違いないが、
それも作品のテーマあってのものだと思うし
何を見せたいのかが明確な作品というのはダイレクトに心象に響く。


ゲンブツ審査に臨み報告書等に添付する写真を撮る訳だが
どこから撮るといいのか悩む作品も毎年少なくない。

1枚のメインカットに主題が集約されていれば
その作品に込められた思いは多くの人に伝わるはず。

評価というのはそういうものだと思う訳ですよ。

フィルムカメラの時代とは違い、今は撮ったその場で確認することが出来る。
更に原寸以上のサイズで詳細を確認することもできる。
確認できたら消去したっていいし、記録として残しておいてもいい。

画像確認してエラーが見られたら修正を行う、
それくらいのスケジュール感で製作するというのはそれほど難しいことではないと思う。
後で気付いて見なかったことに…という訳にもいかんでしょう。

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2016年12月 3日 (土)

GBWCで思うこと

GBWCマレーシア代表選を以て
今年の各エリア代表が全て出そろうことになる。

本来は12/18の世界決勝を終えた後に記そうと思ったのだけれど
忘れてしまいそうなのでマレーシア代表を内定してきたところで
書いておきたいと思う。

GBWCの取材でよく聞かれるのが
「国によって作品に違いはありますか?」という質問。

ガンダムというコンテンツに対する認知・理解度は
国内外でそれほど変わらない、
というのが"模型の国"という限られた世界での現実。


模型製作スキルや使っている道具やマテリアルに関しても

ネットの普及で基本的に大きな差は無くなっている。

市場で売買されているガンプラに関しては関税もあり国内価格よりも割高で
模型趣味な人たちはある程度の収入があり比較的裕福な層の嗜みという現実はある。
彼らはSNSを使い、通販サイトを使うことで
必要な情報、知識、モノを手にする術を持っている。

少なくともガンプラを製作する環境に於いては
エリア差は平準化されつつあると言えるかもしれない。

では、彼らが作る作品に違いはあるのか、
端的に言えば「ある」。

指向的に顕著になるのが情景作品で

様々なシチュエーションを作る時に彼らが生まれ育ってきた環境というのは
潜在的にかなり影響してくる。

わかりやすい例を挙げるならば、
赤道に近い国々のコンテストで雪景色の情景作品を見ることは稀で
効果的に雪の表現を用いた作品は日本、韓国、北京あたりで見られるくらい。

もちろん雪を知らない訳ではないだろうが、

日常との関りが薄ければ表現の選択肢には上がって来にくい。
ビジュアル的に認識していても寒さという感覚は体感無しには表現しにくい。
防寒という表現は寒い所ではどうなるか、を体感し理解して初めて思い至る。

逆に密林の情景での植生や緑の濃さなどは彼らの得手と言ってよかろう。

海の碧さも日本海と太平洋では感覚差がある訳で、
それが沖縄、フィリピン、インドネシア、タイ等々
エリアが異なれば海に対するイメージも違って当たり前。

各国各エリアで目にする"街の色合い"というのがそもそも違う訳で

俺ら彼らはその中で日常を過ごしている。
色の好み、色彩表現にしてもそれは変わってきて当たり前。

グローバル云々が言われるようになって久しい。

写真一枚撮って「ね、ここがちがうでしょ」などとは言えない微妙な話だけれど
そういう微妙な感覚があるということを認識・理解しとかないと
独善的で独りよがりなグローバル認識に陥ってしまうような気がする。

少なくとも各国各エリアでガンプラ作品に接するにあたり

そうした認識は持ったうえで向き合っているつもりではいる。

宇宙空間などという自分には未知の世界を表現する時、

様々な情報を集め想像・妄想し表現するのだけれど
既知の世界を表現する場合でもそうした段取りは必要だと俺は思う。

認識を共有できなければ他人に意図を伝えることは困難な訳で

あざといかもしれないけれど
認識の共有を促すための"記号"は使った方が良い。


コンテストや展示会のような

他人に見せることを前提とした作品を作るのであれば特に。

だからと言って、GBWCの審査などをやっていて

これは〇〇であるべき…とか、△△でなければならない…
などと断定的に言うつもりもないし、
ガンプラを使い自由に表現していただくのに制限は無いのだけれど
他人に意図を共有させ得なければ共感は生まれてきにくい訳です。

GBWCは言うまでもなくガンプラの作品コンテストな訳で、
個々の作品の主題はガンプラにあるべき。

周辺のディテールや見せ方へのウェイトがガンプラよりも前に出てくると

主題たるべきものがシフトしてしまう訳で、
見せたいものは何ですか?ということになる。

俺世界観の作品、アートに類するような作品というのは多々目にする。

様々な模型歴・経験の末に辿り着いた表現の一形態として
眼を見張る作品というのは素直にスゲェと思うのだけれど、
近年その特異的な外観のみをトレースした作品もよく目にする。

傾向と対策という言葉はよく用いられるが、

安易な対策は劣化コピーにしかならない場合も少なくない。
起点を遥かに凌駕するものでなければ二番煎じの領域を超えられない訳です。
既にそこに新奇性は無い訳ですから。

近年例外も多々ある中で、基本的にガンプラは

巨大機動兵器であるロボをスケールダウンしたモデルキットである
という原点を顧みるタイミングに来ているのかもしれんなぁ…
などと漠然と思ったりする訳です。

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