映画・テレビ

2017年4月 8日 (土)

命名;ガンダムバルバトスアサルト

バンダイホビーサイトで先日告知された
「ガンプラカスタマイズサーキット」
比較的簡単なミキシングベースでのカスタマイズというお題で製作した
作例の解説も今日掲出された。

とりあえず作ってみよう的な解説なので
比較的簡便な製作テクニックをいくつか提示させていただいたのだが
実際の製作に関しては多少こだわった部分もある。
あの頁であまり込み入ったことを記すことで
なんとなく敷居が高い…と思われては逆効果なので
あっさり気味に構成したのだけれど
ここではどんなことを考えながら作ったのかという辺りにも触れてみたい。

20170407a

最近ガンプラはじめました、という方でも出来そうなものということで
ルプスとバエルをミックスして"僕の最強ガンダムを…"
というのは発注を受けて打ち合わせしている段階でほぼイメージ出来た。
バルバトスにバエルのスラスターウイングを背負わせることで
ビジュアル的なキャッチーさはアピールできる。

バルバトスに関してはルプスレクスだとカリカチュアライズ加減が強く
個性が強すぎるように思えたのでルプスをベースにした。

バエルもルプスもフレームは金型を共用しているので
ブロック単位でのコンバートは容易、
両機とも白が基調になっているので無塗装で仕上げるにしても
ミックス後に違和感が生じないだろうということで
選択肢的にはバエル一択で決めた。

構成的には頭・ボディ・肩・足がルプス、
腕・脚・バックパック周りにバエルを用いている。

あくまでもバルバトスとして見せたい気分だったので
一見してルプスであることを感じさせる肩と爪先の赤は絶対に残す、
というのは今回のこだわりどころでもある。

バルバトスの脚部ふくらはぎは特徴的なデザインで仕上げられているので
この特徴を消し、頭部、肩・足の赤にバルバトスイメージを集約させる事を考え
バエルの脚を持ってきたが、バルバトス風味はこれで少し薄まったものと思う。
スラスター一体の腰サイドアーマーは
背部のスラスターウイングと併せるとやや煩雑に見えるように思えたので
バエルのシンプルなサイドアーマーを使用。

スラスターウイングを付けたことで空戦機能を備えた機体と思われがちだが
バルバトスのイメージとして強烈な地上戦にこだわりたい気分はあった。
機能的には瞬間的に突進力を高めるためのスラスターなのじゃ!
というのが作っている時の正直な気分。

メイスでどつく系戦闘スタイルが印象的なバルバトスだけに
装備としてメイスは外せないところ。
無印バルバトスがロングバレルの火器を持つ姿というのも
かなりハマって見えたので今回はMSオプションセット7から
大型レールガンを持ってきて持たせている。

今回塗装は行わず、
スミ入れシャープ@クレオスでパーツ表面にダメージや汚れを入れることで
全身傷だらけイメージのあるオルフェンズ世界を表現している。

ダメージ表現を行う際に刃物でパーツを傷つけるというのは
多くの人が行っている訳だが、1/144というスケールを意識すると
切り傷などは実際に傷を付けるまでも無く
シャープペンで描き込むだけでも十分それらしく見えるのではないか…
と思う訳です。

20170407b_2

シャープペン汚しが過ぎるように思いましたが、
スラスターウイングを広げ、全身が収まるカットを撮る時には
どうしても引き気味のアングルになりあまり目立たなくなるはずなので
地上戦ゆえの足回りのダメージ・汚しは過度に、
バストアップでも撮るであろう上半身は押さえめな描き込みを意識した。

黒鉛で描いたもの、触っているうちに剥げてくるのは避けられないため
定着させるためにプレミアムトップコート <つや消し> スプレー@クレオス
を吹きつけているが、つや消しの加減もソフトな感じでなかなか良い。
しかも水性なのでこれから訪れる梅雨の季節でも
カブリを警戒する必要が無いというのは実にありがたい。

20170407c

ザックリこんなことを考えながら仕上げたのがこの機体だったりするのです。

Fun to build! カスタマイズ講座 

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2017年3月26日 (日)

SASUKE 20th

TBSのスポーツ・エンターテインメント番組「SASUKE」
今晩の放送で20周年を迎えるのだそうだ。
正直なところ、積極的に見るようになったのはここ数年で
それまでは番組の存在は知っていたけれど全く興味の対象外だった。

放送日には夜の放送に先駆け昼間に番宣番組が入るのだけれど
そこではSASUKEに人生をかけてしまった人たちのプロフィール、
SASUKEへの思いなどで番組が構成される。
そういう人達の姿を見ていると放送を見る際にも思い入れが加わる。
それまでの単にスゲェなぁ…という印象は
チャレンジャー個々への感情移入から一喜一憂する思い入れに変わる。

それまで全く関心の無かったものでも
中の人の思いやドラマを知ることで一転して興味・関心の対象に変わる。

これはどんなことにも共通するもので
自分が実名でブログやTwitter、Facebook、Instagram等のSNSをやってるのは
"中の人の発信"というスタンスを意識してのものという側面はある。

時々炎上とかアンチといったリスクを危惧してくれる人もいらっしゃる。
今迄も身をもって経験してきたこともあるし
ネットの怖さを知らない訳ではないが、様々なリスクを負っても
中の人の発信というスタンスを採る意義はあると思っている。

企業の公式サイトというのは
新しい情報を求める向きには有用なのだと思うが
往々にしてそれほど面白いというようなものではない。
公式であるがゆえに中の人が感じられないという例は少なくなく
それ故に読み込みたいと思える深みが感じられなかったりする。

情報という消費物は得た段階でその価値は基本的に無くなってしまう。
その情報をきっかけにもっと知りたいとか関連も知りたいといった
情緒面の欲求を喚起してもらう一助として
"中の人が見える、感じられる"というのは案外重要なのではないかと思う訳です。

特に俺らが扱っているのは
無ければ無くても人間が生きていくうえで不可欠なものでもない嗜好品な訳で
中の人がノレないものはお客様が対価を支払ってでも手にしたい…
と思ってもらえるモノにはならんと思う訳です。

中の人云々などというのはその効果の数値化などは出来ない訳で
会社のエライ人からすれば無駄に思えるモノかも知れないし
カワグチがSNSで垂れ流している言葉が必ずしも有用なモノだとは思ってないし
大半が無駄話と言われてしまうと否定はできないのだけれど
そもそも数値化など出来ないお客様のマインドというようなものを相手にしている訳で
今もこうしてブログを更新できているのは
ある意味健全な状況なのではないかと思う訳です。

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2017年3月 7日 (火)

フレームの中のリアル

昨晩NTV系でオンエアされた「世界に誇る50人の日本人 成功の遺伝史」という番組の中で
映画「ブラックレイン」に出演された國村隼さんが巨匠リドリー・スコットからの演技指導の話をされていて
その時に出てきた「フレームの中のリアル」という言葉が印象に残った。

抗争シーンで拳銃を扱う際に撃った後、顔のそばに銃を引き寄せるようにとのことで
演者としては非常に不自然さを感じるものだったそうだが、
リドリー・スコットは「君にとっては不自然でやりにくいかもしれないが、
カメラのフレームの中ではそれがリアルに見えるんだ。」
的なことを言ったらしく國村さんは劇中で銃を扱う時に意識して従ったらしい。

多分、観客の視点を縛らない舞台劇であれば
普通に振舞うことでリアルを見せることが出来るのだろう(誇張はあったとしても)。
TVや映画のような見る人の視点を意図的に向けさせるものであれば
そのフレームの中で感じられるリアルというのはよりリアルを感じさせるための演出が加わってくる。

演者として不自然な演技をフレームの中ではよりリアルなものとして印象付けさせる演出。
模型も同じじゃん…と、その時思った。

自分などはリアルに見せる、感じさせるための記号というフレーズはよく使うが、
厳密に考証していくとおかしいと思われることでも、それがあるゆえにリアルに感じる、
例えば関節などにディテールとして入れられる油圧シリンダー風のもの。
未来の金属、塗料、仕上げがどのようになってるかわからないけれど
塗膜の剥がれや錆的な表現を加えることで長時間運用されている機体のリアルを表現出来る。

ディオラマなどもそう。
ブラックボックスのような視線を限定する様式などはその最たるものだが
通常のディオラマも同様で、
「フレームの中のリアル」を意識することで見る人の印象は大きく変わってくる。
慣れないうちは平板な地形の上にMSをレイアウトするくらいでも満足出来る。
やがてディオラマの広さと役者であるMSの大きさを考え適正サイズで構成するようになる。
平板な地形から建物や地形の変化で高低差をつけるようになる。
置かれるMSの状況を踏まえ演技をつけさせる。
フレームの中の世界をよりリアルにするために大道具、小道具などを配するようになる。
全ての作業がディレクターとしての向き合い方になってくる。
更に見る人に作品を通じて表現したいことが全て伝えられるよう構成するようになる。
見る人(観客)を意識することで演出方針は定まり、
何をすべきか、何が足りないのかが感覚的に理解できるようになる。

SNSなどで画像をUPする、コンテストに出品する等
他人に自分の作品を見せることを前提に製作する場合、
そうしたことを意識するしないでは与える印象は大きく変わってくる。

フレームの中のリアル、リアルという記号の付与、
モデラーとしてスキルを高め、技法を会得するのに加え、
自らの作品に演出を加えるというのもスゲェ作品を生み出すチカラになるのではないかと思う。

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